岩手)遠野市、メガソーラーを制限 県内初、条例改正へ:朝日新聞デジタル

雪の中でも工事は進み、ほぼ半数の約5万枚の太陽光パネルの設置が終了した=2020年1月16日、岩手県遠野市小友町外山

 大規模太陽光発電の設営による環境や景観上でのトラブルが懸念される中、岩手県遠野市は1ヘクタール以上の発電施設の建設を認めないよう条例改正する。県内では最も厳しい規制で、メガソーラー(出力千キロワット以上)を含む大規模ソーラーへの県内初の新設禁止措置となる。3月定例議会に提案し6月の施行をめざす。

 市によると、発電事業者に対して①これまでの届け出制から許可制にする②1ヘクタール以上の太陽光発電は許可しない③地元住民への説明会を義務づける――などと規制強化するとともに、土地所有者に対しても「災害発生を助長し、自然環境を損なう恐れのある事業者に土地を使用させてはならない」ことを義務づける。

 遠野市は、2015年からの10年計画で策定した「新エネルギービジョン」の中で、最終年度の25年度には全市のエネルギー消費量の30%を新エネルギー(再生可能エネルギー)で賄う目標を掲げた。

 その後、市内では外資系の2事業者が市と事前協議に入った。米国系ファンド出資の合同会社から受注したNECネッツエスアイ(東京)は、同市小友町の民有地約92ヘクタールに最大出力46・6メガワットのメガソーラー営業をめざし、太陽光パネル約10万枚を設置する造成工事を開始。昨春には、現場から赤土を含んだ泥水が近隣河川に流入していたことが明るみに出た。

 遠野盆地を見下ろす高清水山の山麓(さんろく)では、台湾系企業が設立したJ&Aエナジー合同会社(東京)が民有林など47・5ヘクタールを確保し出力14・5メガワット、パネル約4万8千枚の設備の建設計画を明らかにした。

 これに対して地元住民が景観や防災安全上の理由から建設反対を市などに要望。市議会には太陽光発電事業を抑制する条例の早期制定を求める請願が出され昨年2月に採択された。

 市はこうした動きを受けて既にある条例を改正して規制強化に乗り出すが、先行するこの2社の案件には適用できない。

 東日本大震災後、太陽光発電は、原子力発電に代わる再生可能エネルギーの切り札として、国も様々な優遇策を講じてきたが、国は4月からメガソーラー事業を環境影響評価(アセスメント)の対象とするよう既にアセス法の政令を改正。県も対象面積を上乗せ規制する形で、20ヘクタール以上を事前審査の対象にし、50ヘクタール以上にはアセスを義務づける条例規則改正を終え、4月から施行する。

 遠野市では今回の条例改正で、国や県の規制よりもさらに施設面積や条件を絞り込んだ「上乗せ条例」となる。同市の白岩克己・政策担当課長は「民話のふる里として景観・環境保全に力を入れてきた市の強い意思表示。市議会からも求められてきた。今後は企業も慎重にならざるを得ないので、現在進行中の案件にも影響力はある」と話す。

 全国的には福島県大玉村、埼玉県日高市、神奈川県逗子市、大阪府吹田市、同箕面市、京都府亀岡市、大津市などで国や都府県より厳しい上乗せ規制を講じている。(本田雅和)
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