明日に向かって② 新事業に活路 まち発展の起爆剤に【岩手日報2014年2月26日】

 二酸化炭素を排出しない電気バスを利用し、駅前から共同利用の電気自動車で買い物に出掛ける。熱と電気を同時につくる最新設備を備えた植物工場では大勢の市民が働き、農産物は特産品として販売。災害が発生しても、メガソーラーで発電できる-。

 実現すれば、夢のようなまちができあがる宮古市のスマートコミュニティ構想。電力の地産地消や、再生可能エネルギーを活用した新たなビジネスモデルを展開する計画だ。

 同市はNTTデータなど民間企業約20社とスマートコミュニティ推進協議会を設立。4月からは市内で、電気と従来のエンジンを組み合わせたプラグインハイブリッド車を共同利用する「カーシェアリング」を始める予定で、実現へ少しずつ動きだしている。

 事業ごとに特別目的会社を立ち上げ、民間投資で事業を進めることも大きな特長。3年間の事業費は約30億円を見込み、国の補助約10億円のほかは民間企業が賄う。

 同協議会事務局長で、航空測量などを手掛けるアジア航測(東京都新宿区)の武藤良樹事業戦略室長は「エネルギーを生み出すことでお金を回す仕組みをつくる。維持管理を含めて軌道に乗れば、自然豊かな地方でのビジネスモデルになる」と挑戦の意義を説く。

 これまで沿岸部は産業の衰退とともに雇用の場の確保に悩まされてきた。本県沿岸部の有効求人倍率は2013年12月時点で1・54倍と高水準で推移しているが、求人の増加は復興工事の影響も大きく、将来にわたって雇用環境が改善したとは言い切れない。

 その中での新産業への挑戦は、関連産業の集積などまちを発展させる起爆剤としての期待もある。

 県は26日、海洋再生可能エネルギーの利用促進のために国が整備する「実証フィールド」の公募に申請する。釜石市沖に浮体式洋上風力と波力発電の研究施設を3カ所設ける構想で、国際的な研究拠点の形成を目指す。

 漁業との協調や技術開発など実現に向けた課題は多いが、先進地の英スコットランドの欧州海洋エネルギーセンターでは、増設を含めこれまでに数十億円の企業投資があったほか、設立から10年ほどの間に人口が数百人増加したという。

 県は、研究者が北上山地(北上高地)を国内建設候補地と選定した国際リニアコライダー(ILC)の誘致によって、港湾活用や関連企業の立地などで沿岸部への波及効果も想定する。

 宮古商工会議所の花坂康太郎会頭は「低価格の電力が提供され企業誘致が進むなどすれば、まさに夢のある取り組みだ」とした上で「採算性など現実の課題もあり、勉強会などを通じて、地元企業の事業参画も含めてしっかり考えていきたい」と将来を見据える。

 宮古市のスマートコミュニティ構想 再生可能エネルギーによる電力の地産地消や発電設備の排熱を利用した植物工場など新しいビジネスモデルの開発を目指す。メガソーラーのほか、電力のマネジメント施設や蓄電設備を整備するなど九つの事業がある。同市は木質バイオマスの発電設備を建設する「ブルーチャレンジプロジェクト」も計画している。

【写真=宮古市内を走る岩手県北バスの電気バス。被災地では再生可能エネルギーを活用したまちづくりが進んでいる】
http://www.iwate-np.co.jp/311shinsai/saiko/saiko140226.html

http://archive.is/JvYDb